ロジャー・ゼラズニイ『Creatures of Light and Darkness』(1969)

    • ゼラズニイ(Roger Zelazny)の未訳シリーズである真世界(アンバー)(マーリンを主人公にした)の後半(6-9巻分)を読んでたりするのだが(前半の1-5巻は某早川書房から訳出されているが、もちろん絶版である。なんだかな……)、ちょっと洋書コーナーを見てたら、浮気心が働いて、これまた未訳の本書を購入した。

Creatures of Light and Darkness

    • 表紙絵(ジャッカルのごときアヌビス神)からも推察できるように、エジプト神話とSFを融合させた作品である。ゼラズニイお得意の、アレである。ギリシア神話インド神話北欧神話ネイティヴ・アメリカン神話(ナボハ族)などさまざまな神話をモチーフに融合させる手腕はSF界随一と言っていい。ゼラズニイ=神話SFも過言ではない。
    • さて、まだ前者アンバークロニクル(ただいま9巻目)を読み中なので、本格的に読み進めるつもりはないのだが、眺めてみると、俄然エジプト神話に興味がわいた。さらに、詩や戯曲などを使った凝った構成(´・ω・`)! ピラミッドは興味はあったが、エジプトの歴史全体やヒエログリフ(絵みたいな文字ね)はそれほどでもなかった。
    • ヒエログリフをちょっと調べてみると、その表記法が深い。さすがエジプト。数学も進んでいただけあって、論理的である。シャンポリオンによりロゼッタ・ストーン解明などはドキドキする展開である。エジプト考古学者あるいは言語学者のごとく、それを研究しはじめてしまった。
    • 読もうかと届いた本を開くと、盟友サミュエル・R・ディレイニーへのエピグラフに続き、三つの引用文がある。
    • しゅごい( ・`ω・´)、ゼラズニイ恐るべし。あと1週間もすれば、何回目かのゼラズニイの命日6月14日が訪れる。没年は1995年であるから、ちょうど21年目……でも、作品はまさに永遠に残ってますよ(-人-)
    • ウィリアム・ブレイクの詩(『無垢と経験の歌 / Songs of Innocence and of Experience』[1794])の異本に収録された「 A Divine Image」からの引用部分(8行詩の後半4行)を拙訳ながら記録しておこう。To Roger with heartfelt condolences(ロジャーへ、哀悼の意を込めて)


A Divine Image
William Blake

The Human Dress is forged Iron,
The Human Form a fiery Forge,
The Human Face a Furnace seal'd,
The Human Heart its hungry Gorge.


ある神性の写し身
ウィリアム・ブレイク

人のいでたちは鍛えられしくろがねより
人の形は、苛烈なる火床から
人の顔は、窯うちに封じれられた
人の心は、神のひもじき胃の腑なのだ

(詩の後半部の四行連である)