2006-03-31 『戦場のピアニスト / THE PIANIST』(2002) 映画 洋画 DVD 戦争 伝記 ドラマ 音楽 ユダヤ系ポーランド人ピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンの戦争実体験が記された回想録を元に、ロマン・ポランスキー監督が映画化した秀作。第75回アカデミー主要3部門(監督賞・主演男優賞・脚色賞)、第55回カンヌ国際映画祭パルムドール他、多数の映画賞を受賞。 1939年、第二次世界大戦のナチスドイツによるポーランド侵攻に始まったシュピルマン(エイドリアン・ブロディ)の激動の人生。ゲットー、人間狩り、強制収容所、ホロコースト……過酷な戦火を生き抜いた数奇なる運命と奇跡。詳しくは述べないが、同じくゲットー原体験のあるポランスキーが描くリアリズムに満ちた物語は筆舌に尽くしがたい。故国ポーランドの天才音楽家ショパンの、夜想曲第20番嬰ハ短調がもの哀しく随所に流れる。正式に夜想曲として書かれたものではないらしいが、ぼくも好きな名曲だ。 ピアニストの自伝映画といえば、『シャイン』(1995)も観たが、完成度としては『戦場のピアニスト』のが数段上であろう。物語で描かれている時間的長さは、前者は半生(数十年)、後者は戦火の数年であるが、対する映画の時間はといえば、前者は105分、後者は149分。ポランスキーは数年を描くのにもこの時間的な尺が必要だとよく分かっている。『シャイン』も悪い映画ではなかったが、ここら辺で物語製作を知る監督の差が映画の濃密さの差となって現れてるように思う(『シャイン』はあと30分は欲しかったし、そうすればもっと完成度は上がっていたであろう)。