『レザボア・ドッグス/ RESERVOIR DOGS』(1991)
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- 一般に世間的な知名度が上がるのは次作『パルプ・フィクション』であるのだが、映画ファンの間で話題になり、今やカルト作品として名をとどめるのはこのデビュー作である。ビデオショップ店員をやりながら、この自主制作を目論んでいたタランティーノ。当時、友人ローレンス・ベンダーが通っていた俳優学校の先生を通じ、その脚本が俳優のハーヴェイ・カイテルの手に渡る。と……すると、カイテル自身から出演したいという電話がタランティーノにあったらしい。『トゥルー・ロマンス』『ナチュラル・ボーン・キラーズ』などの脚本も書いていたが、資金繰りのために泣く泣く売り飛ばしたという。そうして完成したこの処女作はインディペンデント映画の祭典、1992年度サンダンス映画祭でグランプリ候補となり、一躍注目を浴びることになる。
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- あらすじはシンプルだが、タランティーノの本質は飛び交う猥雑な会話(英語で聞くと、fuckingとか猥褻なスラングの嵐である)、分断され、非線形に進む離散的なカットバックシーンの連続、そして印象的で残虐な描写。遠回りするように、外堀から埋めてくように進められ、だんだんと人間関係が分かってくる物語構築が彼のキモである。タイトルが出るまでの長いシーンで、男たちが熱く語るのがマドンナの「ライク・ア・バージン」についてであるのだから、出だしから(゚Д゚≡゚Д゚)?である。そして流れるオープニング音楽はオランダ出身のシンガーソングライターであるジョージ・ベイカーの名曲「リトル・グリーン・バッグ」(1969) 分けが分からないんだが、(・∀・)カコイイ!!ってなっちゃうね。音楽の趣味がいいのもタランティーノ風味。
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- 宝石強盗計画のために集められた男たちは互いの素性を明かさずに、色のコードネームで呼び合う。前記したハーヴェイ・カイテルを主役に、イギリス人ながらアメリカ人役をやったティム・ロスは以後数作タランティーノ映画の常連になる。マイケル・マドセンもちょっと切れた感じの当たり役であり、今や印象的な脇役として欠かせないスティーヴ・ブシェミも出ている。エディ・バンカー(エドワード・バンカー)はタランティーノの敬愛する脚本家・作家であり、この映画出演はちょっと出て欲しいって程度のようだ。もちろん、【・∀・】ジサクジエン好きのタランティーノ自身も出てる。俳優であり映画監督としても実力派のショーン・ペン、その弟であるクリス・ペンは本作出演以後に個性派として復活するも、2006年に心臓肥大と薬物使用のために死亡している。そのエディの親父役で組織のボスであるジョーを演じたのが威厳たっぷりのローレンス・ティアニー。タランティーノの盟友ローレンス・ベンダーはたびたび映画のちょい役で出演するのが慣例になっているようだが、警官のエキストラとして登場する。カーク・バルツも警官役で重要な役であるのだが、本作以降はあまりパッとしないようだ。
Mr.ホワイト/ラリー(ハーヴェイ・カイテル 堀勝之祐)
Mr.オレンジ/フレディ(ティム・ロス 安原義人)
Mr.ブロンド/ヴィック(マイケル・マドセン 金尾哲夫)
Mr.ピンク(スティーヴ・ブシェミ 有本欽隆)
Mr.ブルー(故エディ・バンカー 高宮俊介)
Mr.ブラウン(クエンティン・タランティーノ 水野龍司)
ナイスガイ・エディ(故クリス・ペン 荒川太郎)
ジョー(故ローレンス・ティアニー 中庸助)
マーヴィン(カーク・バルツ 神谷和夫)