『ショーシャンクの空に / THE SHAWSHANK REDEMPTION』(1994)
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- 1は故スティーブ・マックィーンとダスティン・ホフマンが共演した映画で、マックィーン演ずるのは胸に刻まれた蝶の刺青ゆえ、パピヨンと呼ばれた男だ。原作者は本物のパピヨンである故アンリ・シャリエールで、無実の罪で南米ギニアの流刑地・悪魔島に投獄され、そこから脱走するまでの十数年に及ぶ執念の脱走劇に基づいた話である。監督は『猿の惑星 / PLANET OF THE APES』(1968)、『パットン大戦車軍団 / PATTON』(1970)、『ブラジルから来た少年 / THE BOYS FROM BRAZIL』(1978) などを撮った故フランクリン・J・シャフナー。ちなみに、『ブラジルから来た少年』は劇場未公開ながら名作なので観るべし。
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- さて、実話であるゆえ、刑務所やその投獄体験はもちろんリアルである。受刑者たちへの扱いは人にあらず、過酷な収容環境と天然の要害である南米の孤島の様子は恐ろしい。失敗し、独房に収容されてもなお脱走を繰り返すパピヨンに扮したマックィーンの鬼気迫る演技は素晴らしく、ルイ・ドガ役のホフマンとの友情を織り交ぜた物語は150分もあるが飽きさせない。綿密に描かれてゆく前半や中盤に比べると、後半の描写が唐突な感じが否めないのが難点であろうが、名作であるのは間違いないであろうか。故ジェリー・ゴールドスミスによる流麗な音楽もいい。
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- 次に2であるが、スティーブン・キングの[小説]『ゴールデンボーイ 恐怖の四季 春夏編/ DIFFERENT SEASONS Vol.2』(1982)(浅倉久志訳・新潮文庫刊 1988)収録の中編「刑務所のリタ・ヘイワース -春は希望の泉- / Rita Hayworth and Showshark Redemption」を原作に、フランク・ダラボン監督が映像化した作品であるが、彼の原作を映画化したデビッド・クローネンバーグ監督による『デッドゾーン / THE DEAD ZONE』(1983)に並ぶ成功作品であろう。同原作(1979年)の執筆直後に奇しくもこの中編は書かれたそうで、興味深い。
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- 妻と間男を殺した罪でショーシャンク刑務所に投獄されたティム・ロビンス演じる銀行家アンディ・ディフレーンが長き歳月の末、脱走を果たすまでの軌跡(いや奇蹟?)を描いたものである。次第に育まれてゆく囚人たちとの交流、特にモーガン・フリーマンの役である調達屋レッドの存在感が光っている。作品賞候補同様に、彼はアカデミー主演男優賞候補になった。物語はすべてが伏線になっているともいえる。個人的な意見を言えば、以下少々ネタばれゆえテキスト色を変更。ラストは船を造るアンディの姿をアップすることなく、海岸を歩くレッドのハッとしたような姿を捉えた遠景のみで済ました方がよりよかったように思う。あるいはもっとオリジナルに近い形まで、ラスト部分を削って断ち切り的な形で表現するとか