『アラビアのロレンス / LAWRENCE OF ARABIA』(1962)
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- とりあえず、感想。実話を元に、若き日のピーター・オトゥールが主演した第35回アカデミー賞7部門を受賞した古典的名作。監督は『戦場にかける橋 / THE BRIDGE ON THE RIVER KWAI』(1957)、『ドクトル・ジバゴ / DOCTOR ZHIVAGO』(1965)で知られる名匠デヴィッド・リーン。
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- 映画は公開当初207分──上映効率の関係で試写のオリジナル版から14分ほど短縮されていたが、マーティン・スコセッシやスティーブン・スピルバーグらの協力でリーン監督自らが復元作業を行い、1988年に未公開シーンが追加され、226分に及ぶ完全版が完成したという。
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- 雄大で苛烈な砂漠の景色、人馬乱れる群像劇は壮観である。モーリス・ジャール作曲、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団による異国情緒溢れる音楽、特に序曲(映画は始まっていないので真っ暗)から、バイクで疾走するロレンスを映し出すオープニングに繋がる流れは見事だ。幕間のインターミッションがあったりするのも時代性か。故アレック・ギネスもいい味出している。英国人でありながら、アラビアに順応してゆくT・E・ロレンスはエキセントリックである。が、やがて英雄視され、アラブ民族の独立という理想と戦争の持つ狂気の狭間で揺れ動く、ロレンスの孤独な姿は悲壮感に満ちている。久々に、長大な映画を観たという気がする。