『殺しのドレス / DRESSED TO KILL』(1980)
-
- まずはマイケル・ケインの主演作。監督はブライアン・デ・パルマで、共演者はアンジー・ディキンソン、ナンシー・アレンら。デ・パルマといえば、スティーブン・キングのデビュー作の映画化『キャリー / CARRIE』(1976)、禁酒法時代のアル・カポネ摘発を描いた『アンタッチャブル / THE UNTOUCHABLES』(1987) などで有名で主にサスペンスや犯罪映画を好んで撮っている。独特のカメラワークでなかなか面白い絵を魅せてくれる監督だが、ラジー賞ことゴールデン・ラズベリー賞候補の常連になっていている。サスペンス映画の名匠アルフレッド・ヒッチコックを敬愛していて、彼へのオマージュが多分に作品に見受けられる。
-
- この映画もその代表作のひとつ『サイコ / PSYCHO』(1960)へのオマージュ作となっている。熟年の人妻ケイト(アンジー・ディキンソン)は性的欲求不満を抱え、精神分析医エリオット(マイケル・ケイン)にかかりつけになっていた。ある日、美術館で出会った男とケイトは行きずりの情事を楽しむが、謎の金髪の女殺人鬼に惨殺されてしまう。その殺人現場を偶然目撃した娼婦リズ(ナンシー・アレン)は容疑を掛けられ、やがてケイトの息子ピーターと事件解明に乗り出してゆく……
-
- 映像は独特で面白い面もあり、このスペシャルエディションではノーカット完全版という公開時にカットされた過激シーンが復活したバージョンが観られる。しかしだ。基本的に、『サイコ』へ捧げた作品という時点でネタが割れている気がしまうのはぼくだけだろうか? サスペンスもへったくれもない気が(;・∀・)……
-
- マイケル・ケインは同時期に『勝利への脱出 / ESCAPE TO VICTORY』(1980)、 『デストラップ 死の罠 / DEATH TRAP』(1982)などの名作に主演しているだけに、 本作での迷演ぶりが浮いているといえよう。DVD化が切望されるサスペンスの名作ではローレンス・オリヴィエと競演した『探偵 スルース / SLEUTH』(1972)がある。このような傑作サスペンスがDVD化されないのはなぜなのか……
-
- クリストファー・ウォーケン主演作については後ほど。