『殺しのドレス / DRESSED TO KILL』(1980)

    • この映画もその代表作のひとつ『サイコ / PSYCHO』(1960)へのオマージュ作となっている。熟年の人妻ケイト(アンジー・ディキンソン)は性的欲求不満を抱え、精神分析医エリオット(マイケル・ケイン)にかかりつけになっていた。ある日、美術館で出会った男とケイトは行きずりの情事を楽しむが、謎の金髪の女殺人鬼に惨殺されてしまう。その殺人現場を偶然目撃した娼婦リズ(ナンシー・アレン)は容疑を掛けられ、やがてケイトの息子ピーターと事件解明に乗り出してゆく……
    • 映像は独特で面白い面もあり、このスペシャルエディションではノーカット完全版という公開時にカットされた過激シーンが復活したバージョンが観られる。しかしだ。基本的に、『サイコ』へ捧げた作品という時点でネタが割れている気がしまうのはぼくだけだろうか? サスペンスもへったくれもない気が(;・∀・)……
    • 以下ネタばれゆえテキスト色を変更。殺人鬼がみうらじゅんに見えて仕方がない。ラジー賞もやむなし。ケインも同年の主演作で、ベンチリー原作映画『アイランド / THE ISLAND』と併せた評価で、ワースト主演男優賞候補にもなった。
    • マイケル・ケインは同時期に『勝利への脱出 / ESCAPE TO VICTORY』(1980)、 『デストラップ 死の罠 / DEATH TRAP』(1982)などの名作に主演しているだけに、 本作での迷演ぶりが浮いているといえよう。DVD化が切望されるサスペンスの名作ではローレンス・オリヴィエと競演した『探偵 スルース / SLEUTH』(1972)がある。このような傑作サスペンスがDVD化されないのはなぜなのか……

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