『剃刀の刃 / THE RAZOR'S EDGE』(1984)

剃刀の刃 [DVD]

    • ラリー・ダレル(ビル・マーレー)は第一次世界大戦へと赴く。戦地から帰還したが、このまま婚約者イザベル(キャサリン・ヒックス)との結婚すのはためらわれた。パリへ向かい、本を読み漁り、働くその日暮らしの生活をしては自分を見つめ直すヒントを探していた。そんなラリーの変化についていけず、パリを訪れたイザベルに婚約を破棄される。そこに答えがあるやもしれぬとラリーはインド・チベット仏教の地へ旅立ち、ラマ教の師に教えを請うのだが……
    • ユルイ映画だろうからと期待せずに見た。まぁ、なかなかビル・マーレーは自然でいい感じがした。随所にその独特な表現はあるわけだが、それも抑え目。イザベルの伯父で、パリに住む貴族エリオット・テンプルトンに故デンホルム・エリオットが扮してたり、兄のブライアン・ドイル=マーレイが戦地の上官ピードモンドを演じてたり、渋めを揃え、そこら辺の脇役はツボを押さえている。
    • 『3人のゴースト』(1988)に 『恋はデジャ・ブ』(1993)という名作や、最近の『ロスト・イン・トランスレーション』(2003) や『ライフ・アクアティック』(2005)などという映画で、シリアスさが同居した役を演じるビル・マーレーはぼく的には珍しくないが、元々そういう演技ができる人なのだなぁという再発見はできた。いわゆる、コメディーの絶頂を極めんと志向する己を戒める如く、マーリー自身が自分探しをしたくなったのかも、という邪推がないわけでもないが、悪くない映画だ。同年公開の『ゴーストバスターズ』(1984) で頂点を極めるのだが、人生の奥義はきっとマシュマロマンかもしれない……