『ローズマリーの赤ちゃん / ROSEMARY'S BABY』(1968)
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- 年代順に。まずは、劇作家・作家アイラ・レヴィンによるベストセラー小説を名匠ロマン・ポランスキーが映画化した傑作。『エクソシスト / THE EXORCIST』(1973)や『オーメン / THE OMEN』(1976)といった後続のオカルト映画のあり方を決定づけたと言っても過言ではない。
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- メロドラマ的導入から入り、段々とオカルト的なガジェットが明らかになり、サスペンスを盛り上げる手法は見事だ。妊娠期の女性の不安定さをミア・ファローは体現している。話の流れ、そして結末を、ローズマリーの妄想と考えるか、オカルティックなものと捉えるのか、それは観ている者に委ねられる。こういう話の映像化は過ぎると虚仮威しになり、ほぼ失敗するのだが、曖昧さを残す映像表現を用い、ポランスキーはリアルなタッチで描写した。故ルース・ゴードンと故シドニー・ブラックマー演ずるカスタベット夫妻は特に存在感があり、前者は第41回アカデミー賞助演女優賞を受賞している。ポランスキーは脚色賞候補であったのだが、面白いことに主演の故ジョン・カサヴェテスによる監督脚本作品『フェイシズ / FACES』(1968) が同年3部門候補になっている。ミア・ファローが故フランク・シナトラと新婚であったが、この映画撮影で離婚になったという話が以前紹介したロバート・エヴァンスの自伝映画『くたばれ!ハリウッド』(2002)にも紹介されている。
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- 以下3作品、感想などはのちほど。