『ローズマリーの赤ちゃん / ROSEMARY'S BABY』(1968)

ローズマリーの赤ちゃん [DVD]

    • ローズマリーミア・ファロー)は駆け出しの役者ガイ・ウッドハウス(ジョン・カサヴェデス)とニューヨークに越してきた。古めかしい高層アパートではあったが、愛する夫との新生活を始めるには素晴らしい新居に思われた。引っ越し早々、ひょんなことから夫は大役を得、ローズマリーも念願の子宝を授かった。世話付きの隣人カスタベット夫妻には些か呆れるが、出産の日を待ちわびるローズマリー。だが、役作りに夢中の夫と次第に擦れ違い気味になり、何やら奇妙な情緒不安感に苛まれてゆくのだった……
    • メロドラマ的導入から入り、段々とオカルト的なガジェットが明らかになり、サスペンスを盛り上げる手法は見事だ。妊娠期の女性の不安定さをミア・ファローは体現している。話の流れ、そして結末を、ローズマリーの妄想と考えるか、オカルティックなものと捉えるのか、それは観ている者に委ねられる。こういう話の映像化は過ぎると虚仮威しになり、ほぼ失敗するのだが、曖昧さを残す映像表現を用い、ポランスキーはリアルなタッチで描写した。故ルース・ゴードンと故シドニー・ブラックマー演ずるカスタベット夫妻は特に存在感があり、前者は第41回アカデミー賞助演女優賞を受賞している。ポランスキーは脚色賞候補であったのだが、面白いことに主演の故ジョン・カサヴェテスによる監督脚本作品『フェイシズ / FACES』(1968) が同年3部門候補になっている。ミア・ファローが故フランク・シナトラと新婚であったが、この映画撮影で離婚になったという話が以前紹介したロバート・エヴァンスの自伝映画『くたばれ!ハリウッド』(2002)にも紹介されている。
    • 以下3作品、感想などはのちほど。