新作が旧作を越えられない訳

魔界転生魔界転生

    • 昨夜、というか本日の未明。リメイク版の『魔界転生』(2003)がテレビでやっていた。未だにSF伝奇時代劇の名作として、オリジナル映画版(1981)を信奉しているぼくであるが、どう差し引いてもこのリメイク版は駄作としかいいようがない。
    • キャスティングミス、脚本のダラダラ感、演出的意図の不鮮明さ、映像美の欠如、音楽の魅力に乏しい……もうホラーでもSFでも時代劇でもないのである。妖しさがない。以下、旧作と新作のキャスト比較(私見)。

天草四郎時貞
沢田研二(中性的で(・∀・)イイ!!)
窪塚洋介(あの髪型、どこのファンキー兄ちゃん?)
柳生十兵衛
千葉真一(オヤジどのぉ〜斬る!)
佐藤浩市(頑張ってるがまだお兄ちゃんっぽい……)
伊賀の霧丸/おひろ               
真田広之(これぞJAC)
黒谷友香(なんで女性?)
細川ガラシャ夫人(お玉)/クララお品       
◎佳那晃子(妖艶と狂気!)
麻生久美子(うーん、いまいち)  
宮本武蔵
緒形拳(無骨。この人は最高である)
×長塚京三(声細すぎ。サラリーマン課長な武蔵(´・ω・`))
宝蔵院胤舜
◎故・室田日出男(破戒僧を地で行く)
古田新太(スマン、登場場面見てない……)
柳生但馬守
◎故・若山富三郎(化鳥の如き、貫禄)
中村嘉葎雄(いいけど、はっちゃけ具合が乏しい。故・萬屋錦之介の弟さんだけある演技力だけどね)
将軍家綱/徳川頼宣
○松橋登(なよなよ感がもう上様)
×杉本哲太(うーん、肉体派すぎじゃない?)
旧作のみだがコメント。
◎故・成田三樹夫(もういるだけで怪しい……ってかヤクザ映画の乗り?)
◎故・丹波哲郎(もういるだけで大霊界……ってか頑固オヤジはいないとね)

    • やっぱりね、故・深作欣二監督みたいに、原作を自分のモノとして咀嚼し、爆発させていないのが決定的な差である。ヤクザ映画っぽくても(・∀・)カコイイ!!を通すみたいな心意気でグイグイ魅せちゃうぐらいでないと、駄目である。旧作の最終場面の紅蓮の炎に包まれて落城する様は綺麗であり、その中で相まみえる親子対決とか萌える。特撮技術を使ってるのは当然だけど(じゃないと、焼け死ぬし)、それでも観客にうぉ〜熱そうって思わせる映像の迫力と、熱風がこちらまで来そうな感じがいい。そこから、エンドロールへ流れる音楽の巧みさ。対して、リメイク版はCGを多様しすぎである。若いスタッフやキャストを使ったのかもしれないが、Vシネマを越えられない映画っぽい。原作者の故・山田風太郎がもしこれを見たら、残念がるだろう。