『悪魔の手毬唄』(1977)シリーズ第2作

悪魔の手毬唄

    • 昭和27年、金田一耕助が静養を兼ね立ち寄った、兵庫県の県境にある山村・鬼首村(オニコベムラ)。そこで殺人事件が発生し、事件の背後に村を二分する由良家と仁礼家の存在が浮かび上がり、古くから村に伝わる手毬唄にまつわるものだということが明らかになってゆく……ここでは、岡山県警の磯川警部(故・若山富三郎)との関わりが出てくるが、原作では昭和23年発生の『八つ墓村』の事件以降に知己となり、いくつもの短編で登場している。主演女優は岸恵子で、青池リカという温泉旅館「亀の湯」の女主人役である。他には仁科明子が大空ゆかり(本名・別所千恵子)という鬼首村出身の女優役、もちろん、「よし、わかった!」でお馴染みの加藤武も立花捜査主任役や、草笛光子大滝秀治、故・小林昭二、故・三木のり平などの常連も出てくる。因習に絡んだシナリオのおどろおどろしい感じもさることながら、村井邦彦が担当した音楽はシンセサイザーを使っていたりとどこか現代的なセンスもある。歌やそういうモノに重ねるのはミステリの常道であるが(クリスティがマザーグースを使ったように)、それを日本独自の因習とミックスした世界は横溝正史ならでは。この話は金田一ラブな話ではなく、磯川警部ラブリーな話である(苦笑)。故・勝新もそうだけど、若富も可愛らしいのよねぇ。血は争えぬ。