『獄門島』(1977)シリーズ第3作

獄門島

    • 市川崑監督×石坂浩二主演の金田一作品群の中では、ぼくがもっとも好む映画作品。市川崑監督は当初これをシリーズの打ち止めにしようとしていただけあって、その完成度は素晴らしいと思う。昭和21年の終戦直後、引き揚げ船で死んだ戦友(映画版では友人雨宮の戦友という設定)・鬼頭千万太の遺書を携え、瀬戸内海の孤島・獄門島を訪れた金田一は、俳句の見立て殺人事件に遭遇する。本鬼頭と分鬼頭の確執、入り組んだ血脈、訃報と符合する如く戻った釣り鐘……主演をする薄幸の美女、鬼頭早苗に扮するのは大原麗子である。なんとなくぼくはサントリーレッド(゚Д゚≡゚Д゚)?のイメージが出来ちゃってるのだけど、 早苗は金田一耕助が愛した唯一の女性という設定である。橘捜査主任役の加藤武も板に付いて、もうこの場面にはホッっとするのである。司葉子や故・太地喜和子ら女優陣も豪華で、ピーターやすごい若い浅野ゆう子も味わい深い。が、やはりその存在感から、故・東野英治郎の鬼頭嘉右衛門役と故・佐分利信の了然和尚は強烈。シャアの(´∀`|д・)っ|)である池田秀一が了沢役で出演してるのは( ・∀・)つ〃∩ ヘェーヘェーヘェーって感じである。ちなみに、原作とこの映画版は「('∀`)<あなたが犯人です」が違ってたりする。犯人の変更は市川崑の美学なんだろうね……と思う。音楽は『悪魔の手毬唄』でも編曲を務めていた田辺信一さんで、以後『病院坂の首縊りの家』までシリーズの作曲を手がけている。まぁ、『悪魔の手毬唄』もそうだけど、これら劇場版金田一耕助シリーズの音楽は、どこか寂しげなムード歌謡きあるいは童謡の如き響きが感じられる曲調である。それを考えると、『犬神家の一族』の大野雄二さんによるテーマはジャズっぽいので、個人的にはベストだが、この『獄門島』の曲は好き。どこか軽やかで、風来坊的な金田一耕助のテーマってのがいいよね。海の碧さと潮の香りが感じられる名作。