『チャイナタウン / CHINATOWN』(1974)

    • 1937年のロサンゼルスが舞台。ジェイク・ギテス(ジャック・ニコルソン)はチャイナタウンにある地方検事局出身の私立探偵であったが、素行調査などで食いぶちを稼ぎながら、うらぶれた生活を送っていた。水道電力局の部長モーレイの夫人を名乗る女から、夫の浮気調査を依頼される。調査を進めるギテスであったが、そんな彼の前に現れたのはもうひとりのモーレイ夫人イヴリン(フェイ・ダナウェイ)であった。やがて、ダム建設の利権を巡る人脈図が明らかになり始めるのだが……
    • 監督のロマン・ポランスキーは、1969年のいわゆる「シャロン・テート事件」で、妻で女優のシャロンを亡くしていた。が、その頃脚本に恵まれていなかったこともあり、この映画に惹かれ渡米を決意。ニコルソンを想定して書かれた脚本(言葉遣いや仕種)は探偵の一人称視点から観た如く、ハードボイルド小説の構造を定石にして映像化されていて、ポランスキーの美学がうまく表現されているが、脚本の結末は当初未定であって、その撮影数日前に決まったのだという。ちなみに、自身もこの映画に出演もしている。ポランスキーといえば、1977年の少女強姦事件で有罪判決となったが、映画撮影の為といってアメリカを出国し、現在も逃亡犯という身でヨーロッパを中心に活動している。『テス / TESS』(1979)や『戦場のピアニスト / THE PIANIST』(2002)などで、アカデミー賞の作品賞や監督賞の候補や受賞に関わるほどの監督だけに、犯罪は許されることではないけれど、もうちょっとそこら辺の所がクリアにならないかと思う。