『光の王 / LORD OF LIGHT』(1967)の訳文と原文

    • 全然更新していない拙作のメインHP*1の表紙で、ゼラズニイの同書から一部文章を引用させて頂いている。ゼラズニイらしい美しいものであるが、なんとなく原書の文も併記してみた。それで、気になって先日リニューアル再販された新版の方の翻訳同文も眺めてみると、「あれれ?」と若干手直しされている(420ページの後半辺りから)。
    • たとえば、each day--旧版では「毎日」だが、新版では「日々」と直され、若干の雰囲気の違いが出ている。直後の「それぞれ」と呼応してるわけだが。また、somewhere in midmorning--旧版では「朝のなかばごろのどこかで」だが、新版では「午前中のどのあたりかで」とこれは趣きが随分と違ってしまっている。midmorningとは午前8時から10時を指す言葉らしい。辰の刻(午前8時)と巳の刻(午前10時)であるわけであるが、午前中というどこか現代的な表現を使ってしまうと些か個人的にはつまらない。「辰と巳の刻のなかばごろのどこかで」というのは拘りすぎもあり、ちょっと意訳しすぎかもしれぬので、目覚めという表現やここは文章的な朝、昼、夜という時刻の移り変わりを踏まえて、朝という言葉を使った方がいい。であるから、後者の訳語選択は、旧訳のがぼく的にはしっくりくる。前者はどちらでもいいと思う。改めて原文や訳文を読み直ていると、以前とは違った感覚が働き、訳語選択を変えたくなることがあるということ。