『銀河ヒッチハイク・ガイド / THE HITCHHIKER'S GUIDE TO THE GALAXY』(2005)
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- ある日突然、ヴォゴン人建設船団の巨大宇宙船群が地球上空に現れた。銀河バイパス建設のためであったが、その通告を地球人たちは知る由もなく、地球は一瞬にして破壊されてしまう。平凡なイギリス人アーサー・デント(マーティン・フリーマン)は友人フォード・プリフェクト(モス・デフ)の手助けで辛くも生き残り、地球最後の生き残りとなった。フォードは銀河系最大のベストセラー「銀河ヒッチハイク・ガイド」の編集調査員であり、実は宇宙人であったのだ。ひょんなことから、銀河系大統領ゼイフォード・ビーブルブロックス(サム・ロックウェル)の宇宙船に乗り合わせることになったアーサーたちはこのガイドブックを頼りに、広大な宇宙へ旅立つことになるのだが……
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- もうお馬鹿映画である(;・∀・)……異星人の侵略者に抵抗してとか、怯えて逃げ惑った果てにとかそういうレベルではなく、なんか冒頭であっけなく地球は消滅。その発想が伝統的なイギリス的SFの奇想なんだろうなぁ。映像が最新のCG技術を生かして綺麗なのはいうまでもないが、キャラがまず面白い。銀河系大統領の宇宙船にいるロボットのマーヴィンはGPP(真性人間性プログラム)を搭載した新世代ロボットで、鬱症状を呈している。大統領はエクセントリックであり、それを演じるサム・ロックウェルはこれがまた怪優ゲイリー・オールドマンを彷彿とされる風貌といい、壊れている。思い出したが、これまたお馬鹿なSF映画の傑作『ギャラクシー・クエスト / GALAXY QUEST』(1999)にも出ていたね。こっちも面白いので観るべし。変と言えばジョン・マルコヴィッチも出演してたり、宇宙へ旅立った彼らがどんな冒険をするのかなかなか楽しんで観られたようには思うが、SFパロディ的な、捻りのあるユーモアである。真理の探究とか高尚なことを求めている啓蒙映画ではないが、ただの娯楽作品でもない。子どもたちがディズニー系だからといって、素直に楽しめる作品というわけにはいかないだろう。続編を期待させるエンディングにもなっている。
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- 原作は元々、1978年からイギリスのBBCラジオ4の連続ドラマとして書かれたもので、それをダグラス・アダムスが小説化しカルト的な人気を博して、シリーズ化された作品である。
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- と、全5巻出ている。1〜3は長らく絶版であったが、最初にも書いたが、この映画化に合わせて新訳出版され、続編も翻訳されるようで喜ばしい。風見潤氏による既訳文庫の訳語もなかなか印象深いという話で(例えば、Pan Galactic Gargle Blasterという語。旧訳:汎銀河ウガイ薬バクダン 新訳:汎銀河ガラガラドッカン)ファンの間に賛否があるようだが、新訳は新訳で、作者の工夫があってぼくはいいように思う。読めない状況より、新訳が出て読み継がれてゆくのが一番じゃないのかなぁ。新訳は英語の音に似せようという趣旨も見えてくる。