三山のぼるさん逝去について

    • しばらく、何も書く気になれなくて封印していた。ちょっと再開してみる……
    • 三山のぼるさんが逝去したということを知った。昨年12月2日、享年51歳ということだ。死因は定かではない。が、目覚めてくることなく、朝亡くなられていたのが発見されたようだ。安らかな死であったということだろうか。変ないい方かも知れぬが、三山さんらしいといえば、そんな気もする最期だ。
    • 三山作品に触れたのは『メフィスト』(講談社刊。モーニングKC、全6巻。1985〜1988年)が最初だった。殺人を繰り返し、降魔の儀式に生け贄を捧げ悪魔を召喚せんとした男・流動玲二。それによって現世に蘇った魔女アルマが現代人たちの病んだ魂を見つめ、救済してゆく物語だ。発表時期はバブル期の80年代中期、ホラーブームの流れの中での作品だった。
    • オカルトあるいはSF的な手法を用いて、生と死に揺れる「魂」を見つめた作風であった。人間の屈折した愛憎、殺人、欲望が描かれた。その現代に溢れる息が詰まりそうになる残酷行為という負のベクトルに三山さんは、中世に行われた魔女狩りの残虐性との共通性をやはり見たのだろう。だが、結局最終的に行きつく先は、贖罪を求めるようにもがく人間を「救う」という正のベクトルだ。同時期に描かれた作品に『カンタリス』という作品もあるが、これは『メフィスト』の中での「死」と不可分である「性」というモチーフへどこかコミカルにシフトさせたものだが、根底にあるのは同じだった。
    • 近年はほぼ原作つき作品を描いていたようだし、知る人ぞ知る作風ゆえにメジャーではなかった。謹んで三山さんの冥福を祈りたい。